研究課題
【調査の実施】2018年4-5月に前年に実施した大学4年生調査(2018年卒業コーホート)の「就職1年目調査」(第2波調査)を実施した.また,2019年1月に2016年卒業コーホートの「就職3年目調査」(第3波調査),2017年卒業コーホートの「就職2年目調査」(第3波調査)を実施した.どの調査も100名近くの回答があり,多変量解析にたえうる回答者数と考えデータの分析を進めた.【分析結果】2016年卒業コーホートと2018年卒業コーホートの「大学4年生調査」「就職1年目調査」の計量分析から次のことが明らかになった.就職前の能力変数が就職結果に及ぼす影響は、制度変動期に就職活動を経験した2016年卒業コーホートでより明確であった.ただしそれは0次の関連であり,多変量解析の結果,どちらのコーホートも能力変数が就職結果に影響を及ぼすという主張は支持されなかった.「個人の資質がライフコースに及ぼす影響は,制度の安定期ではなく制度の変動期においてである」という仮説は,大学生の能力と就職結果にかんしていえば,支持されなかったといえる.引き続き,他の心理変数についても同様のコーホート比較分析を検討し,大学生の能力や心理,就職結果,そして制度の3者関係について明確にし成果論文にまとめる.【今後の計画】今後は,2018年卒業コーホートの「就職3年目調査」を実施し,制度変動期(2016年卒業コーホート)と制度安定期(2018年卒業コーホート)について,就職結果だけでなくその後の職業移動に対して,能力変数・心理変数が及ぼす影響を明らかにしたい.
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太郎丸博編, 2019, 『周辺的労働に関する短期パネル調査報告書』京都大学文学部社会学研究室
巻: 印刷中 ページ: 22-31
阪口祐介編『2015年SSM調査報告書6 労働市場1』SSM調査研究会
巻: 6 ページ: 29-42