2011年よりビルマ民政移管が進む中、滞日ビルマ系難民はいかなる移住戦略を展開してきたのか。日緬両国の調査から、本研究は二つのことを明らかにした。ひとつは日緬両国の対ビルマ系難民政策(ビルマ・ディアスポラ政策と日本・難民政策)により、帰国の可否、滞在期間、越境移動の可能性が決定され、ビルマ系難民の移住戦略が政策的に方向付けられていたことである。二つ目に難民家族に着目すると、永住帰国、日本滞在の継続、家族構成員の分離がみられるなど家族戦略が多様化していたことである。民政移管はビルマ本国の社会変動のみならず、海外に暮らす滞日ビルマ系難民の移住機会を再編する社会変動であったことが実証的に明示された。
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