研究課題/領域番号 |
15K17202
|
研究機関 | 名古屋産業大学 |
研究代表者 |
松下 奈美子 名古屋産業大学, 環境情報学部, 講師 (00743642)
|
研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2018-03-31
|
キーワード | 高度人材の国際移動 / アジア地域の人の移動 / 日本の留学生受入れ政策 / 中国の高度人材の送り出し / 科学技術人材の国際移動 |
研究実績の概要 |
平成27年度は研究計画書に従い、中国での調査を中心に行った。平成27年9月の調査では大連での聞き取りを行った。大連理工科大学では日本留学希望者と留学経験者に聞き取りを行い、また大連経済開発区では日本からの帰国中国人人材がどのような求職活動を経て中国で入職しているのかを調査した。平成28年2月から3月には、上海、大連、北京では各都市の大学、人材派遣会社の担当者に聞き取りを行い、どのような人材が日本に移動しているのかを調査した。人材派遣会社2社への調査では、中国国内の上位10大学の高度人材に対して日本への就職支援を行うシステムについて調査を行った。上海交通大学、精華大学、北京大学での聞き取り調査では、日本での就職希望者のうち、実際に日本での就職が決まった人材と、就職活動を行ったものの、採用には至らなかった人材双方に聞き取りを行った。 また、上海、大連、北京の各都市のJETROにも聞き取りを行い、中国国内で経済発展の遅れている中国北部と、経済発展が進む南部の差異が人材の国際移動にどのような影響を及ぼしているのかについて聞き取りを行った。平成27年度に行った研究成果の発表実績は以下の通りである。 ①発表者:松下奈美子 発表題目:来日韓国人IT技術者の国際移動の水路形成-1980年代から2000年代にかけて-発表日:2015年6月7日 学会名:関東社会学会第63回年次大会 場所:千葉大学②発表者:松下奈美子 発表題目:英語圏と非英語圏における社会的地位集団としての高度人材の域内移動:イギリスとドイツにおける比較考察 発表日:2015年10月12日 学会名:日本地域学会第52回年次大会 場所:岡山大学③発表者:松下奈美子 発表題目:中国人若年高度人材の国際労働移動に関する予備的考察-上海・大連における調査事例から- 発表日:2015年12月12日 学会名:移民政策学会冬季大会場所:中京大学
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
採択課題「科学技術分野における高度人材の国際労働移動に関する研究:アジア地域を中心として」平成27年度の研究計画はおおむね研究計画通りに進行している。本研究成果の一部分は、上記研究実績の概要に記載した学会発表以外に、書籍及び移民政策学会の学会誌『移民政策研究』に投稿し、査読論文として掲載された。
【著書】松下奈美子「日本のグローバル人材の受入れの現況と政策展開」(『「グローバル人材」をめぐる政策と現実』第4章,pp74-91. (駒井洋監修、五十嵐泰正、明石純一編著) 明石書店 2015年5月 【査読論文】松下奈美子「科学技術分野における高度人材の集団的国際移動に関する社会学的考察-アメリカへ移動するインド人IT技術者集団の事例をもとに」『移民政策研究』第8号,2016年5月, 明石書店。現在審査中の論文として、比較教育学会と日本地域学会の学会誌に、それぞれ研究結果を投稿中である。平成27年度に行った調査は平成28年に行われる学会で発表予定であり、計画通りに進捗している。
|
今後の研究の推進方策 |
中国における高度人材、とりわけ中国の上位大学の学生の日本就職については引き続き調査を行う予定である。日本に留学してから就職活動を行う人材と、中国で学位取得後に日本で就職活動を行う場合では、そのプロセス、結果が大きく異なることがこれまでの調査から明らかになったため、留学生と非留学生の国際移動と日本での就職について重点的に調査を行う。
平成28年度に予定されている国際メトロポリタン会議では、ワークショップの開催を申請し、申請が採択されれば、日中の大学関係者及び実務家(人材派遣会社の担当者)と共同で研究発表を行うことを計画している。
今年度は日本の高度人材の受入れ政策に関する研究にも着手する予定である。
|
次年度使用額が生じた理由 |
当初予定していた物品購入(PC)が大学から貸与されたことで、科研費による購入の必要がなくなったため。
|
次年度使用額の使用計画 |
今年度は昨年度行った調査結果の整理や資料整理などで人件費が発生するため、人件費として使用する予定である。
|