本研究の目的は、児童養護施設の子どもに対する学習支援と主体的な進路選択を体系的に捉え、学習支援から離脱する子どもを包摂する複線的自立の条件を明らかにすることにある。それと同時に学習支援のプログラム評価を行う。第一に、施設で生活する中学生・高校生の縦断調査を行い、子どもの主体的な進路選択の形成過程を職員の援助実践、外部講師(学習塾や大学生など)による学習支援の実践と合わせて分析する。第二に、子どもの進路選択に対する学習支援の効果測定とプログラム評価を量的・質的調査によって明らかにする。以上により、児童養護施設で生活する子どもに対する複線的自立支援体系を検討する。 2016年度は、国内外の社会的養護の統計資料の収集および児童養護施設や生活困窮世帯の子どもたちに実施されている学習支援の全国的な動向を把握すること目的として、先行研究の整理を行った。具体的には、児童養護施設における学習支援に関する調査や退所過程と自立支援に関する調査、政府発表資料、児童養護施設の援助実践、学校卒業における進学および就職と進路選択に関する文献研究を中心とし、実践的かつ制度的課題を考察した。また、児童養護施設における大学進学および高校進学の統計データを都道府県別に分析した。 さらに、実際に学習支援からの離脱と複線的自立条件の分析を行うための具体的な調査計画を策定し、名古屋市立大学人間文化研究科研究倫理委員会に承認された。
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