本研究の目的は、児童養護施設の子どもに対する学習支援と主体的な進路選択を体系的に捉え、学習支援から離脱する子どもを包摂する複線的自立の条件を明らかにすることにある。それと同時に学習支援のプログラム評価を行うことにある。第一に、施設で生活する中学生・高校生の縦断調査を行い、子どもの主体的な進路選択の形成過程を職員の援助実践、外部講師(学習塾や大学生など)による学習支援の実践と合わせて分析する。第二に、学習支援が子どもの進路選択にどのように影響しているのか学習支援の効果測定とプログラム評価を量的・質的調査によって明らかにする。以上により、児童養護施設で生活する子どもに対する複線的自立支援体系を検討する。 2018年度はこれまでの調査から、進学率や就学への意識にどのような変化がもたらされるのか、実践的かつ制度的課題を考察した。とりわけ、児童養護施設における大学進学及び高校進学のデータを都道府県別の分析を行った。さらに、施設職員へのインタビュー調査および、学習支援を行っている大学生へのインタビュー調査を分析し、これまでの研究をまとめた。
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