本研究では、主に憲法25条と生活保護法成立過程を分析し、2つのことを明らかにした。第1に、社会保障は「社会的生活保障制度」として総合的な制度体系を志向していたことである。最低生活保障は生活保護だけではなく、社会保障の整備によって実現することが想定されていた。第2に、社会保障に関する国家の義務については認めていたが、国民の権利については消極的だったことである。 上記の結論は実証主義を重視する今日の研究成果を批判的に検討したことにより導き出されており、研究方法における「総合的視点」の重要性を指摘した。
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