研究課題/領域番号 |
15K17227
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研究機関 | 立教大学 |
研究代表者 |
大谷 早紀子 (大山早紀子) 立教大学, コミュニティ福祉学部, 助教 (20722284)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | 精神科デイケア / 訪問支援 / プログラム評価 |
研究実績の概要 |
本研究の目的は、重い精神障害のある人が孤立することなく、地域生活を継続するために精神科デイケア(以下、デイケア)と訪問支援を組み合わせたモデル(以下、効果モデル)を構築し、その効果モデルの効果を検証することである。 平成29年度は、平成28年度から継続している観察研究計3回のうち、6か月経過後と1年経過後の2回の調査を行った。調査は 、デイケアと訪問支援を統合的に利用している対象者に対するWHOQOL評価尺度による主観的調査である。従事者には、本効果モデルへの関心度や取り組みの工夫や困難点などについてアンケート調査を実施した。併せて機関を対象とした調査として、平成27年度に構築したデイケアと訪問支援統合化プログラムにどの程度準拠しているかの程度を把握する尺度(フィデリティ評価)およびデイケアと訪問支援を統合的に提供した際の効果(アウトカム)評価を依頼した。 この観察研究と並行して、平成29年8月に本研究に協力をいただいている医療機関を訪問し、インタビューを実施した。そして本モデルに取り組む際の困難やその困難の解決方法、工夫している点等を伺った。 このインタビューを通して、効果モデルに取り組む際に①院内関係者への説明方法は、段階を追って行うこと②院長や事務長など上層部への働きかけは研究者が行うことが望ましいこと③院内担当者もスキル習得の時間が必要であることが明らかとなった。 そしてこれらの調査を通して、効果モデルの、導入に向けた活動をまとめた「精神科デイケア及び訪問支援統合化プログラム評価 実施・普及ガイドライン 案<総論・導入編>」を作成した。 今後は、このガイドラインの精緻化と協力機関同士の相互訪問による評価方法の再検討等を行っていく予定である。併せて協力いただいた各機関にフィードバックの場を設定し、本モデルのさらなる精緻化に取り組みたいと考える。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
当初は、平成28年11月から平成29年10月を観察研究の期間として予定をしていた。しかし、調査票の作成に時間を要した結果、倫理審査の提出が遅れ、個々の機関への説明等が12月になった。そのため観察研究の開始が平成29年1月となり、終了が平成29年12月となった。また観察研究開始後に、中心的役割を担っていた職員が退職した機関があり、調査が滞ったため、当該機関への第3回目の調査票の発送が平成30年5月となった。このような状況により、当初の予定より遅れている。
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今後の研究の推進方策 |
第3回目の調査票の発送が、平成30年5月の機関が1機関ある。それまでに、初回調査、中間調査および第3回の調査の分析を進めていく。 また平成29年度に作成した「精神科デイケア及び訪問支援統合化プログラム評価 実施・普及ガイドライン 案<総論・導入編>」の精緻化と本研究への協力機関同士の相互訪問による評価方法の再検討等を行っていく予定である。併せて協力いただいた各機関にフィードバックの場を設定し、本モデルのさらなる精緻化に取り組んでいく予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
訪問調査の際に、複数個所をまとめて訪問したこともあり、交通費および宿泊費の支出が抑えられた。 今年度は、第3回調査未実施の医療機関への調査票の印刷費、郵送費のほか、データ入力委託費などに執行する予定である。また協力いただいた各機関にフィードバックの場を設定し、意見交換会を開催して検討する。開催にあたる参加者の旅費や、資料作成等において予算を執行する予定である。併せて、本研究の成果発表のための出張、学会参加費に充当する。
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