本研究の目的は、重い精神障害のある人が孤立することなく、地域生活を継続するために精神科デイケア(以下、デイケア)と訪問支援を組み合わせたモデル(以下、効果モデル)を構築し、その効果を検証することである。そしてそれを基に「精神科デイケアおよび訪問支援統合化プログラム評価 実施・普及ガイドライン」を作成することである。 最終年度である2018年度は、2016年度から2017年度にかけて実施した調査の分析を行った。調査は、デイケアと訪問支援を組み合わせて提供することで得られる効果を明らかにするフィデリティ尺度、デイケアと訪問支援を統合的に利用している対象者に対するWHOQOLによる主観的調査と、従事者が記入するLASMI、GAFの客観的調査である。分析の結果、フィデリティ得点が高いとLASMIの得点も高くなり、フィデリティに準じた取り組みによる効果が明らかとなった。一方、フィデリティの得点が低いと、LASMIの日常生活領域の得点は低くなることから、活動が増加することによる生活への影響を、活動と生活の双方からアセスメントすることの重要性が示唆された。またWHOQOLの分析の結果、フィデリティの得点に関係なく、効果モデルの実施によって、仲間や従事者など社会的の支えの大きさを感じられるようになることが明らかとなった。 この結果を本調査に協力いただいた機関を訪問し、個別のフィードバックした後、全機関の研究協力者に集まっていただき、実際に効果モデルに取り組んでみて困難だった点、その困難の解決方法、効果モデルを普及させるために必要な要素について共有した。そしてそれらを2017度に作成した「精神科デイケア及び訪問支援統合化プログラム評価 実施・普及ガイドライン(案)」にどのように位置づけることができるか検討し、改訂への示唆をいただいた。
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