|
本研究では、日本と韓国における4つの研究課題を設定していた。
（1）「認知症の家族支援デリバリシステムの現状と課題を把握」については、文献研究を中心に行い、必要によって行政や関係専門職にヒアリング調査を行った。日韓において家族支援は、90年代前後から関連研究が進み始め、日本では新オレンジプラン、韓国では認知症国家責任制において家族支援が進み始めたところであるが、今なお地域間格差がみられていた。（2）ソーシャルワーカ―へのインタビュー調査を通して「家族支援におけるソーシャルワーカーの役割と課題」について分析したが、家族支援を担っているソーシャルワーカーの基礎資格や組織規模などによって、その役割に差異がみられた。また、（3）「地域住民（介護を終えた家族に着目）の役割と課題を検討」し、地域住民が認知症の家族支援に携わることについて介護キャリアプロセスを中心にその意義を考えることができた一方で、地域住民として認知症家族支援に携わることの限界もみられたため、社会福祉関係機関や専門職との連携の重要性が示唆された。これらの内容は、日本認知症ケア学会、社会福祉学会などにおいて報告しており、論文としてまとめ報告している。最後に、（4）「日韓比較研究を通して、認知症の家族支援システム構築に向けて政策面及び実践面における示唆を提示」に向けて、これまでの研究結果をまとめ、分析を行っており、2019年9月の日本社会福祉学会で報告する予定である。
|
