本研究では東日本大震災の影響が要介護認定率やサービス受給費などに中期的に影響を与えたかについて,①津波の被害が特に大きかった福島県の沿岸部15市町村,②周辺市町村,③その他の市町村の3群に分けて分析した.共分散分析の結果,震災後に福島県の沿岸部15市町村は,他の2群よりも後期高齢者の要介護認定率が高くなり,一人当たりのサービス受給費も多くなっていた.その傾向は震災から6年後も続いていた.要介護状態別では特に後期高齢者の軽度者と中度者が大きく伸びていた.大震災後には,生活環境の悪化やストレスなどによって要介護状態になる可能性のある後期高齢者への手厚い支援を継続的に行っていく必要があると思われる.
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