本研究は、セツルメント運動を源流としたカナダBC州バンクーバー市におけるネイバーフッドハウスの運営方法やサービス・プログラムの実施、利用者・ボランティアスタッフの関係性を調査し、多世代間交流の子育て支援をめぐる場作りについて考察することを目的としている。 平成28年度は、Kitlano Neighbourhood HouseおよびGordon Neighbourhood Houseの参与観察およびインタビュー調査(利用者・ボランティアスタッフ・スタッフ)を実施した。また、ネイバーフッドハウスでは、1つの施設の中で、約30種類の日常生活を支援するサービス・プログラムが展開されているため、実施されているサービス・プログラムを整理し、その実態を、①人間の発達段階に対応、②個別ニーズへの対応の2つにまとめた。その中で、子育て世代が利用するサービス・プログラムの調査を行い、子育て世代にとって、ネイバーフッドハウスが果たす役割について考察をした。そして、イギリスやカナダにおいて発達をしたコミュニティ・ディベロップメントの理論・手法が、個別ニーズへの対応だけでなく、多世代に渡るマルチサービスの提供を実現したと考えられたため、文献収集を行った。 研究業績は、『はじめて学ぶ保育』「レッスン13 北米における子育て支援」ミネルヴァ書房(2017.7予定)を執筆した。また、日本地域福祉学会第31回大会にて「カナダにおける住民参加型地域福祉の推進のための方策と工夫~"Eveything Present in the Seed"の資料分析から~」(2017.6)、日本世代間交流学会第8回大会において「多世代交流の子育て支援をめぐる取り組み~カナダ・ネイバーフッドハウスを事例として~」(2017.10)を発表する。
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