平成29年度は、4月~7月にかけて療育に携わる就業前教育に関する実践を9回実施した。合わせて、8月~9月にかけて就業後教育として、児童発達支援事業と障害のある子ども達の保育を行う保育士に対して、5回の研修会を実施した。 最終年度としての就業前教育の取り組みでは、療育に携わる可能性のある学生は、行動分析に関する知識が5%水準で有意に上昇した。特に、障害の診断名からの子どもの行動の理解ではなく、「子どもと周囲との関わり」や「行動の前後に着目する」ことに大きな変化が認められた。また、行動分析の学習における困難点についてテキストデータを分析した結果、出現頻度が高いカテゴリは「対象者に合わせて自己変容をする」「強化刺激の探索と設定、活用が困難」「課題設定が困難」「対象者に応じた対応の選択と実施」が困難であることが明らかとなり、行動分析を学ぶで学生に求められる変化に対して支援やフィードバックが重要と考えた。 また、平成27年度に実施した療育に携わる7職種の専門職への取り組みの結果を基に、最適化したプログラムを療育に携わる保育士(1職種)に対しての就業後教育を実施した。最適化されたプログラムの特徴として、各グループに1名づつのファシリテーターを配置し、取り組む課題選定に対して行動分析的視点からPDCAサイクルに基づく検討をした。その結果、行動分析の知識は、1%水準で上昇し、抑うつ-落込みは5%水準で改善された。さらに、インシデントプロセスにの取ったグループワークにより、他者に対する「友好」が5%水準で上昇するなど、知識面・情緒面において本就業後教育プログラムの有効性を明らかにすることができた。また、参加者の基本的心理欲求の充足からも分析から、就業後教育のエンパワメントを高める可能性も示唆された。 これらの得られた科学的根拠と知見より、就業前後の教育・研修プログラムのモデルを検討した。
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