研究課題/領域番号 |
15K17244
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研究機関 | 同志社女子大学 |
研究代表者 |
小宅 理沙 同志社女子大学, 現代社会学部, 助教 (50523536)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | 性暴力 / 妊娠 |
研究実績の概要 |
当該年度の研究実績としては、当事者2名へのインタビュー調査を実施したことが主であった。2名はお互い知り合いではないと思われるが、2人が選んだ「逃避」場所は、温かい南国の地であった。共通のキーワードとして「気候」「気温」があった。これは「辛い体験を思い出さないように」とのことであったが、おそらくPTSDなどの症状への対応策として、良い気候や気温が選択されたと分析した。2名ともこれらの選択により、PTSDなどの症状は「和らいでいる」と一定の評価をしていた。 また、「辛い体験」とは性暴力そのもの、あるいは性暴力による妊娠かと仮説を立てていたが、1人目の当事者への調査結果は以下となった。それは、性暴力やそれによる妊娠、出産などのことは時間と共に「記憶が曖昧になっていく」とのことであったが、生まれた子どもが「今年で何歳になる」など「今」という時間に関連する「問題」の方にむしろ意識が向き、「今」子どもとは会いたくても会えない現実のことの方が「辛い体験」となっていることが明らかとなった。一方で2人目の当事者への調査結果は、難産であった当時の出産体験がより複雑に強く影響を及ぼしていると分析した。具体的には、自らの意思とは無関係に「子ども中心」の処置が進んだこと、そして手術代等がかなりの高額になったことなどに対し、なぜ自分は「被害者であるにもかかわらず」などの様々な複雑な心境を、「辛い体験」という表現以外に「神を恨んでいる」と表現していた。こちらは、当時の不条理な体験に「今」もなお支配されていることが垣間見えた。 以上の研究結果から明らかとなった重要な点は、性暴力被害による妊娠の場合、どのような「出産体験」であったかが、生まれてきた子どもへの感情を変化させ、さらには被害体験の被害者への支配の度合いも変えさせるのではないか、という側面からも今後の調査研究を実施すべきとなったことである。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
当該年度は当初予期していないことが起こり、それは妊娠であるが、悪阻もひどく切迫流産の診断をされたことなどが重なり、予定していた調査研究がほとんど実施できなかったからである。
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今後の研究の推進方策 |
当該年度に実施できなかった調査研究を、そのまま今年度に実施することとする。
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次年度使用額が生じた理由 |
妊娠、産前産後休暇、育児休暇のため次年度使用額が生じた。当該年度の使用計画額をそのまま次年度に使用する計画をしている。
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