研究課題/領域番号 |
15K17249
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研究機関 | 奈良女子大学 |
研究代表者 |
阿形 亜子 奈良女子大学, 大学院人間文化研究科, 博士研究員 (80637140)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | リスク認知 / 集団状況 / 認知的枠組み |
研究実績の概要 |
本年度は、昨年度おこなったリスク課題(報酬と罰、それぞれにおいて、獲得・損失の高いものから低いものについての選択を、集団状況及び個人状況でおこなう)、について追加実験をおこなった。併せて、昨年度実施された3つの実験についてのデータ分析、および各実験結果の解釈について、他大学の研究協力者も交えて検討した。そこでは、本研究では集団状況における認知・行動変容を対象としているが、集団状況で喚起される心理状態は、友人や家族、恋人といった親密な関係における心理状態と同一なものか否かを考慮する必要性が指摘された。また、本研究の理論的基盤である、集団状況における認知的枠組みの変容に関わる実験研究について国内研究会、海外学会で発表、情報収集、論文執筆をおこなった。研究成果発表を通して、集団が個人にとっての意義が文化によって異なる可能性が考えられた。また、この点を含め、前年度おこなわれた実験結果を踏まえ、さらに新たな実験条件(完全に個人単独で実験室でリスク課題の選択をする)を設定した追加実験をおこなうこととした。この実験では、1.これまで実施された環境とは違い、単独状況であること、2.その参加者にとって集団がどのような意味をもっているか、例えば集団主義か否か、についてを考慮することとした。これまで個人条件では、周囲に人がいるものの、相互作用をしない状況を設定し、集団条件では相互作用をし、おそろいのユニフォームを着るという状況を設定していた。1に関しては、実験室に単独で来てもらい、回答することで、集団条件との差別化を図ることが狙いである。この条件設定によるデータ収集を、次年度もおこなう予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初の予定通り、初年度はリスク判断課題についてデータ収集を実施した。そして続いて今年度は、研究内容や、昨年度の研究成果について、国内研究会で発表をおこなうことができた。また、本研究の理論的基盤である関連研究とその成果について、海外学会での発表を行い、本課題研究についての情報収集、他の研究者との意見交換の機会を得た。それにより、実験設定の発展だけでなく、データの理論的解釈を進めることが可能となった。研究協力者の意見を取り入れることで、今後の研究の発展が見込まれた。物質認知に関するデータを収集することはできなかったが、実験場所を確保し、実施の準備自体は行えたため、おおむね順調に進展していると判断する。
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今後の研究の推進方策 |
前期中に、リスク課題についての追加データ収集をさらにおこなう。それから、本研究テーマについてさらに文献・論文講読により情報を収集する。また、8月までの間に物質認知に関する実験実施をおこなう予定である。実験場所や参加者確保の制限があるため、複数回の実験実施が難しいことから、先行研究の講読を踏まえた妥当性・信頼性の高い実験計画の作成を最優先とする。
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次年度使用額が生じた理由 |
年度末におこなう予定であった実験が、実験参加者と実験場所の確保の都合上、年度内の実施が困難になったため。
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次年度使用額の使用計画 |
29年度前期中に実施する。
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