研究実績の概要 |
集団規範を変えるうえでの手続きや議論の過程を、大学祭実行委員会における大学祭規約改変の議事録をもとに検討した(Ozeki, 2019)。この結果、これまでの規範に対する疑問が集団規範の変更を行なううえでの起点になっていることが示された。その後は、成員間での疑問やそれに対する説明などが繰り返しなされた上で、どのような規範に変更すべきか、もしくはそのまま残すべきかに関する提案がなされ、全員が合意したところで決定とするプロセスを繰り返し、集団規範の継承がなされることが明らかにされた。 他方、個々の集団成員に、集団規範をそのまま継承せず、形を変えて継承したり、継承そのものをやめてしまうという個人的な動機が備わっていることが示唆されている(尾関・吉田, 2012; 山田, 2012)ことから、集団規範を継承するうえでの動機である、集団規範継承動機尺度の作成を行なった(尾関, under review; Ozeki, 2017)。この結果、集団規範継承動機には、次世代の成員に対する責任である責任動機、上の世代から継承された集団規範はそのまま継承しなければならないとする集団規範継承義務動機、集団規範を変えることは集団の在り様を変えてしまうことにつながるからそのまま継承すべきであるとする集団像保存動機、そして集団のあり方は自分たちの世代で決定したいとする決定動機の4つの動機が存在することが確認された。
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