第1に、小グループでの学習時における教師による学習者への働きかけにはどのような特徴があるのか、小グループでの学習時における教師の即興的思考にはどのような特徴があるのかを明らかにするために、前年度から継続してデータ収集を行なった。具体的には、 授業観察及び授業についての半構造化面接を3名の教師(小学校2名、中学校1名)を対象に実施した。 第2に、昨年度までに収集した9名の教師のデータを分析し、小グループでの学習時における教師の即興的思考にはどのような特徴があるのかを修正版グラウンデットセオリーに基づき分析を行い、モデルの作成を行った。「見取りの焦点化」「問題解決過程の見取り」「関わりの見取り」「情動を伴う思考」「支援の決定」「後続の展開の検討」の6カテゴリーが抽出された。また、授業前や小グループでの活動前に持っていた知識や授業計画に基づいて支援や展開を考えていく思考と、その場の子どもの様子や状況に応じて支援や展開をその場で修正し、デザインしていく思考を行なっていることが示された。これらの知見は、ISCAR第5回大会において発表された。 第3に、縦断的に小グループでの学習時における教師による学習者への働きかけおよび即興的思考の特徴を検討することで、小グループでの学習に関して,教師がどのような実践知をどのように形成していくのかを明らかにするために、上記3名の教師のうち2名(小学校1名、中学校1名)に対して、2回の追加調査を行なった。
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