| 研究課題/領域番号 |
15K17273
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| 研究機関 | 広島大学 |
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研究代表者 |
上手 由香 (小嶋由香) 広島大学, 教育学研究科, 講師 (20445927)
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| 研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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| キーワード | 被爆二世 / 世代間伝達 / 放射能 / 健康不安 / トラウマ / 世代継承性 / 差別・偏見 |
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| 研究実績の概要 |
本研究は，原爆被爆者の子や孫である第二世代，第三世代を対象とし，被爆体験の次世代への心理社会的影響について，原爆被爆体験という戦争トラウマの世代間伝達と，被爆二世・三世の精神的健康および，次世代に対してどのような関心をもっているかについて世代継承性の観点から検討することを目的としている。
平成28年度は，3つの研究を進めた。
研究１として，被爆二世を対象としたインタビュー調査を実施し，①被爆者から被爆体験がどのように継承されてきたか，②ライフサイクルにおける被爆二世としての認識の変化，③次世代への継承の意識について検討した。また，本成果の一部を 31st International Congress of Psychology，および日本発達心理学会第28回大会でシンポジウムを開催し，報告した。
また，インタビュー調査の結果から，一部の被爆二世には現在も放射能の遺伝的影響に関する健康不安を有する可能性が示された。この結果を受け，当初の研究計画を発展させ，放射能被爆の次世代への心理的影響に焦点を当て，これまでの知見を総覧する必要性が生じた。そこで研究2として，広島・長崎の原爆被爆およびチェルノブイリ原発事故による心理的影響に関する研究論文を収集し，レビュー論文として執筆し，広島大学心理学研究第16号に発表した。
また，研究3として，被爆三世への精神的健康に関する予備調査として，平和意識とwell-beingに関する質問紙を作成した。
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| 現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
研究目的に従って，被爆二世の心理的体験に関するデータの収集が予定通り進められた。また，得られたデータの分析を進めるうち，当初の計画から発展し，特に被爆二世からは，放射能の遺伝的影響に関する不安が特徴的に示されたため，広島・長崎の原爆被爆とチェルノブイリ原発事故に関する心理的影響について報告した文献のレビュー論文を作成し，発表することができた。
平成28年度は，国際学会での発表や国内学会でのシンポジウム開催を通して，被爆体験の次世代への継承に関して，他分野の研究者と交流することができ，多角的な示唆を得ることが出来た。
またその他に，被爆三世を対象とした質問紙調査を企画し，今年度はその予備調査の準備を進めることができた。
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| 今後の研究の推進方策 |
平成29年度としては，引き続き被爆二世を対象としたインタビュー調査のデータを収集し，蓄積していく。また現在収集したインタビューデータに関して，国際学会および国内学会での発表を予定している。また，放射能の遺伝的影響に関する健康不安に関する結果について，国際学会誌に論文として投稿する予定である。
被爆三世を対象とした質問紙調査については，現在予備調査を実施中であり，引き続きデータの収集を行い，データがそろい次第，結果の分析を行う予定である。
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