本研究は、小学校・中学校・高等学校における性同一性障害者/性別違和の児童・生徒(当事者)への支援の方法について、①当事者-教員の間、②当事者-保護者-教員の間、③当事者-他生徒の間の3つのコミュニケーションの側面から検討を行った。結果、学校には 「個別対応-集団対応」、「現在(配慮)-未来(制限:受験等)」、「子どもの成熟-未熟」、「選択肢の限定-拡張」など相対立する軸が存在し、これによって教員の対応や意識にばらつきが生じている可能性が示唆されたが、生徒-教員-保護者が「共同体になっていくための未来に向けた語りを持っている」ことがコミュニケーションの下支えになることが明らかとなった。
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