研究課題/領域番号 |
15K17284
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研究機関 | 関西学院大学 |
研究代表者 |
猪股 健太郎 関西学院大学, 理工学部, 助教 (30750830)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | 視覚的な典型性 / 視覚教材 / 描画 / 発達 / 記憶 |
研究実績の概要 |
本研究は視覚教材において,認知処理に最適な枠線に対する対象物の大きさについて検討するものである。ある枠線に対して,物体を認知処理する際,物体ごとに最適な大きさの比率があり,さらにこの比率は物体の実世界における見えの大きさに対数比例することが,先行研究で示唆されている。この認知処理特性を視覚教材作成原則において考慮するための基礎的検討を行うべく,2015年度は以下の研究活動を実施した。視覚的な典型的大きさの発達段階による差違を検討するため,児童期から青年期の参加者300人に対して,描画課題を実施した。具体的な課題は,先行研究(Konkle & Oliva, 2011)の手法を踏襲し,あらかじめ実世界での大きさの序列が統制された対象物を,参加者間で大きさの異なる紙に描写するものであった。その際,学内の倫理審査機関「関西学院大学人を対象とする行動学系研究倫理委員会」による研究実施の承認を受けた(受付番号: 2015-46)。収集された描画について,紙の大きさに対する物体の大きさの比率を解析するため,物体の外接矩形の面積を解析するプログラムの開発を行った。観察された発達段階における差違について解析を進め,2016年に開催される国際学会で発表予定である。また,本研究課題に関連する既に収集された実験・調査データについて整理・分析し,国内外での学会にて発表を行い,学会誌への投稿準備を行っている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
2015年度には研究代表者の所属が変更になったことから,研究体制の整備に時間を要し,当初の計画における独立した研究の順序を入れ替えることとなった。しかしながらその後,実験準備は滞り無く進み,倫理審査機関による承認を経て実験へ至った。また,収集されたデータの解析用プログラムの作成も当初の予定よりも短期間で行われた。これらのことから,実験開始時期がやや遅れたものの,研究は大きな遅滞なく概ね順調に進んでいるといえる。
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今後の研究の推進方策 |
前年度に収集されたデータについて,整理・分析を進める。これと並行して,無意味物体刺激の大きさ評定実験について,刺激の仕様策定および作成,実験プログラムの作成を進める。無意味物体刺激の大きさの認知に関しては,関連する研究が海外で報告されたため,その内容を精査し,慎重に新奇性を探索する必要がある。
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次年度使用額が生じた理由 |
次年度使用額の大半は調査会社への委託費用である。郵送調査形式の実験を調査会社に委託し,既に調査に関する手続きを進めているが,研究代表者の所属変更に伴い,実施時期が遅れた。このため,調査費用の支払い日が次年度に持ち越され,次年度使用額が生じることとなった。
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次年度使用額の使用計画 |
次年度中に調査会社に支払いが行われることになっており,次年度使用額は漏れなく執行される予定である。次年度分として請求された助成金についても,当初の計画通り,無意味立体評価の実験準備および実施,さらには研究成果の発表等の費用として使用する予定である。
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