研究課題
本研究は視覚教材における物体を呈示する際の,認知処理に最適な枠線に対する対象物の大きさについて検討するものである。ある枠線に対して,物体を認知処理する際,物体ごとに最適な大きさの比率があり,さらにこの比率は物体の実世界における見えの大きさに比例することが,先行研究で示唆されている。この認知処理特性を視覚教材作成原則において考慮するための基礎的検討として,2018年度は以下の研究活動を行った。まず,動物の幼体の画像を刺激として,”かわいい”といった接近感情が喚起されやすい画像の認知処理について検討を行った。その結果,これらの画像は中立的な感情を喚起する画像や動物の成体の画像とは異なり,枠線に対する実際の大きさの比率より一定程度小さく表象されることが観察された。このことから,"かわいい"印象を喚起させる対象物は,再認の際のエラーが生起しやすい可能性が示唆された。また,昨年度実施した典型性の高い情報の提供による視覚的なデザイン支援に関する実験的検討の結果を踏まえ,インターフェースを改良し,より有用性の高い参照システムを構築した。さらに,実世界での大きさの異なる複数カテゴリの物体における感性評価について検討を行い,色彩表現への調整によって,刺激に対するポジティブな印象を促進できることが示唆された。ただし各カテゴリにおけるサンプル数が限定的であったため,色彩表現の調整の標準化についてはさらなる検討が必要であることが示唆された。関連する研究も含め,成果の一部を国外や国内で発表した。
すべて 2018
すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件、 オープンアクセス 1件) 学会発表 (5件) (うち国際学会 1件) 図書 (1件)
パーソナリティ研究
巻: 27 ページ: 87-89
https://doi.org/10.2132/personality.27.1.10