本研究は、精神病への認知行動療法(CBT for Psychosis:CBTp)の教育・研修体制を確立し、わが国にCBTpを普及させるための環境の整備・構築に寄与することを目的とする。CBTpを実施する際に、セッションの録音記録を元に専門家がスーパービジョン(SV)を実施し、SV下でセラピストが安全にCBTpを統合失調症患者に実施でき、治療前後において精神症状が改善し、患者から高い治療満足度が得られるのか否かを明らかにする。また、CBTpを評価するCognitive Therapy Scale for Psychosis(CTS-Psy)を使用し、その信頼性妥当性を検討する。 H27年度2月から臨床試験のリクルートを開始し、H28年度4月から1例目への介入を開始した。介入する中で、プロトコルに問題がないかを確認し、Skypeを使用して外部の専門家と定期的にSVを実施した。 1例目は、介入開始後にCBTpとは関連しない事象を要因に入院したため、一時的にCBTpを中断したが、その後対象者の希望もあり介入を再開し、結果的に介入終了まで安全にCBTpを実施することができた。H28年10月に2例目への介入を当施設で開始し、研究協力依頼をした他施設にてH29年2月に3例目への介入を開始し終了した。 4例目、5例目、6例目への介入を当施設で行ったが、4例目と5例目はCBTpとは関連のない事象を要因に症状の悪化または入院があり、どちらも中断となった。6例目は現在継続中である。 現時点では当施設及び外部一施設にて介入を行っているが、更に外部三施設から研究協力の承諾を得られ、現在介入開始に向けて準備中である。また、研究協力施設の研究打ち合わせをH29年度に2回開催し、進捗状況等を共有した。H29年度が最終年度であるが、目標対象者13名を目指してH30年度も引き続き研究を継続する。
|