研究課題/領域番号 |
15K17288
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研究機関 | 国立研究開発法人国立精神・神経医療研究センター |
研究代表者 |
藤里 紘子 国立研究開発法人国立精神・神経医療研究センター, 認知行動療法センター, 流動研究員 (50610333)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | 認知行動療法 / 不安症 / うつ病 / 強迫症 / 児童青年 / 統一プロトコル |
研究実績の概要 |
本研究の目的は、感情障害を抱える児童に幅広く適用可能な最先端の認知行動療法とされる統一プロトコル(Unified protocol for Children: UP-C)を日本に導入し、その実施可能性、安全性、有効性を検討することである。 平成28年度は、研究協力者とともにUP-CおよびUP-A(青年版UP)の開発者であるJill Ehrenreich-May博士が開催するワークショップに参加するとともに、マニュアルおよび臨床試験運用にあたってのコンサルテーションを受け、理解を深めた。こうしたコンサルテーションを受けて、初年度に翻訳を終えたマニュアルについて、研究協力者と翻訳の見直しを行った。その中で、日本の文化には合わない表現、イラスト、例が複数見られたため、開発者と相談の上、日本に適した内容に変更するなど修正を加え、日本版を完成させた。 並行して、日本版が存在しなかったいくつかの効果指標について、原著者から許可を得てバックトランスレーション等の作業を行い、日本版を作成した。 臨床試験の運用体制の整備としては、子どもの精神疾患を専門とする国府台病院児童精神科と複数回ミーティングを行って意見交換をしつつ、前後比較試験が実施できる体制を整えた。また、前後比較試験の研究プロトコルを作成して、国立研究開発法人国立精神・神経医療研究センター(承認番号:A2016-043)および国立研究開発法人国立国際医療研究センター(承認番号:NCGM-G-002148-00)の倫理委員会の承認を受け、3月より患者リクルートを開始した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
昨年度報告の通り、研究計画の段階では、青年版のUP-Aも実施する予定であったが、UP-AおよびUP-Cの原版の改訂・出版作業の遅れに伴って翻訳作業が遅れていることと、2つの臨床試験を同時に実施する体制作りが困難であったことから、UP-Cの臨床試験の実施に専念しているため、全体として遅れている。
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今後の研究の推進方策 |
平成29年3月よりリクルートを開始しており、平成29年5月より介入を開始する予定である。平成29年秋ごろより、2クール目を実施し、平成29年度中に目標症例数の達成を目指す。並行して、学会発表および論文化の準備を進める。また、臨床試験の実施は困難であるものの、UP-Aのマニュアルの翻訳を進め、今後の臨床試験実施に向けた準備を整える。
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次年度使用額が生じた理由 |
臨床試験開始にあたって必要な諸経費(主に物品費)の使用については、概ね予定通りであるが、本年度は患者リクルートを開始したばかりであり、治療者、コーディネーター等の人件費・謝金としての支出がなかった。また、研究全体が遅れているため、研究成果の発表に至らず、その分の旅費の支出がなかった。
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次年度使用額の使用計画 |
平成29年度は、介入開始に伴い、治療者、コーディネーター、研究補助者等の人件費・謝金としての支出が見込まれる。また、研究成果の発表のための旅費として使用する計画である。
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