研究課題/領域番号 |
15K17288
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研究機関 | 国立研究開発法人国立精神・神経医療研究センター |
研究代表者 |
藤里 紘子 国立研究開発法人国立精神・神経医療研究センター, 認知行動療法センター, 流動研究員 (50610333)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | 認知行動療法 / 児童青年 / 不安症 / うつ病 / 強迫症 / 統一プロトコル |
研究実績の概要 |
本研究の目的は、感情障害を抱える児童青年に幅広く適用可能な最先端の認知行動療法とされる統一プロトコル(Unified protocol: UP)を日本に導入し、その実施可能性、安全性、有効性を検討することである。 平成29年度は、引き続き国府台病院児童精神科と連携して、児童版UP(UP-C)の前後比較試験を進めた。前年度末より開始した患者リクルートを続け、5月より、1クール目の介入を開始した。参加者は、児童とその保護者全8組であった。うち1組がドロップアウトとなったが、最後まで参加した7組については、介入前、介入8週目、介入後、介入終了3か月後のすべてのデータを収集した。11月より、2クール目の介入を開始した。参加者は、児童とその保護者全5組であり、ドロップアウトはなかった。全5組について、現在のところ、介入前、介入8週目、介入後のデータを取得済みである。3月より、3クール目のリクルートを開始しており、平成30年4月より介入を開始する予定である。登録目標症例数は、合計18例である。 また、UP-Cおよび青年版UP(UP-A)ともに、原版のマニュアルの改訂が行われ、新たにワークブックおよびセラピストガイドが出版されたため、それに伴って、日本版UP-Cの改訂、およびUP-Aの翻訳を開始した。現在のところ、UP-Aのワークブックの下訳を終えており、今後、UP-C同様、日本の文化には合わない表現、イラスト、例については、日本に適した内容に変更するなど修正を加え、日本版を完成させる予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
昨年度報告の通り、研究計画の段階では、UP-Aの臨床試験も実施する予定であったが、UP-AおよびUP-Cの原版の改訂・出版作業の遅れに伴って翻訳作業が遅れていることと、2つの臨床試験を同時に実施する体制作りが困難であることから、UP-Cの臨床試験の実施に専念しているため、全体として遅れている。
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今後の研究の推進方策 |
本研究は、補助事業期間を延長しており、平成30年度に全例の登録および評価を終える予定である。また、すべてのデータがそろい次第解析を行い、学会発表および論文投稿を行う。 並行して、UP-Cのセラピストガイドおよびワークブックの改訂と、UP-Aのセラピストガイドの翻訳およびワークブックの日本版作成の作業を進め、今後の臨床試験実施に向けた準備を整える。
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次年度使用額が生じた理由 |
既述の通り、研究全体が遅れたため、補助事業期間を延長し、平成30年度にUP-Cの3クール目の介入を行うこととした。それに伴い、治療者や研究補助者等の人件費が必要となるため、次年度使用額が生じた。そのため、そのほとんどを人件費として使用する計画である。
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