研究課題/領域番号 |
15K17289
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研究機関 | 千葉大学 |
研究代表者 |
浅野 憲一 千葉大学, 子どものこころの発達教育研究センター, 特任助教 (60583432)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | コンパッション / 認知行動療法 / うつ / Fear of Compassion / 慈悲 |
研究実績の概要 |
H27年度においては日本語版Fear of Compassion Scaleの作成およびコンパッションワークを用いた集団認知行動療法プログラムの予備試験を行った。 日本語版Fear of Compassion Scaleの作成においてはBeaton (2000)の手続きを用いて十分な異文化間妥当性を確保した。作成された原案に対して大学生に回答を求め、解析を行った。解析にあたっては、MAP法と平行分析による因子数の決定、探索的因子分析、確認的因子分析、信頼性係数の確認、項目反応理論による検討、並存的妥当性の確認、弁別的妥当性の確認を行い、いずれにおいても十分な信頼性と妥当性が示された。 また、コンパッションワークを用いた集団認知行動療法プログラムについては、うつ病患者14名を対象に予備試験を行い、効果量の見積もりと安全性および実現性の検討をおこなった。プログラムは1回1時間、10週間実施された。プログラム内容の内訳は集団認知行動療法の内容が6回、コンパッションワークが4回であった。実施前と実施後のBeck Depression Inventory-IIの変化を比較したところ、有意な変化と高い効果量が示された。有害事象等はみられず、十分な安全性、実現性が示された。今後はこの結果をもとに、ランダム化比較試験を用いた同プログラムの検討やコンパッション・フォーカスト・セラピーのみを用いたプログラムの効果の検証が期待される。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
調査研究および介入研究を並行して進めており、いずれについてもデータの収集および分析が終了しているため。
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今後の研究の推進方策 |
作成された日本語版Fear of Compassion Scaleを用いた調査研究を健常群、臨床群に対して行っていく。 また、集団コンパッション・フォーカスト・セラピーを開発し、その予備試験、ランダム化比較試験を行うことで治療効果の検証を行う。 並行して終了した研究の発表と報告を行っていく。
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次年度使用額が生じた理由 |
共同研究者との協議によって国際学会での発表などを見送ったため生じた。 次年度に当該発表を行う予定であるため、繰り越された金額は消化される見通しである。
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次年度使用額の使用計画 |
国際学会における発表(渡航費、滞在費、参加費等)と論文掲載料。
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