研究課題/領域番号 |
15K17292
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
石川 亮太郎 東京大学, 総合文化研究科, 日本学術振興会特別研究員(PD) (80625608)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | 強迫性障害 / 汚染恐怖 / 認知療法 / 認知行動療法 |
研究実績の概要 |
本研究では、強迫性障害における汚染恐怖がどのような認知行動的要因によって悪化されるのかを検証することを目的にした。 27年度の研究では、汚染恐怖を持つ強迫性障害の患者を対象にインタビュー研究を行った。その結果、汚染恐怖は、a)汚染による健康被害の認知、b)汚染に対する永続性の認知、c)汚染源となる人物に対する嫌悪感、といった要因によって悪化されていると考えられた。 さらに先行研究では、汚染恐怖を悪化させる認知的要因の一つとしてFear of Morphingが着目されている(Zysk et al., 2015)。そこで平成27年度の研究では、Fear of Morphingを測定するための質問紙である、Morphing Fear Questionnaireの翻訳を行った。今後は当該尺度を用いた実験および質問紙調査を用いて、強迫性障害をどのようなメカニズムで維持・悪化されるのかを検証していく。 上記に加えて、平成27年度では、汚染恐怖の強迫性障害に対して認知行動療法が有効なのかを検討するための臨床研究も開始している。現在3名の臨床患者に対して、認知行動療法を行っており、その有効性を検証している。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初の計画通り、インタビュー研究や質問紙調査の準備は進行している。従って、おおむね順調であるという評価である。
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今後の研究の推進方策 |
今後は、Morphing Questionnaireの日本語版を作成し、その妥当性と信頼性を検証する。さらに当該尺度を用いた実験と質問紙調査を行い、汚染恐怖による強迫性障害が維持・悪化されるメカニズムを検証していく。 さらに汚染恐怖を持つ強迫性障害の患者に対して認知行動療法を実践し、認知行動療法が汚染恐怖による強迫性障害を改善させるのに有効なのかを引き続き検証していく。
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次年度使用額が生じた理由 |
次年度使用額が生じた理由としては、まず、研究図書の購入が予定より若干少なかったことがあげられる。さらに初年度であったたため、当該研究のデータを論文化する作業が若干遅れており、それに伴う経費が少なかった。
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次年度使用額の使用計画 |
平成27年度において得られたデータをまとめ、論文化および学会発表を行っていく。また当該研究に関わる書籍を予定通り購入していく。
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