本研究では、東日本大震災発生後、福島県沿岸部の避難住民の支援的業務を行っている職員を対象として、飲酒行動の実態を調査し、「アルコール健康教室」を実施し、その効果を検討した。本研究は、「こころの健康と飲酒に関するアンケート」のみを実施したグループと、アンケートと「アルコール健康教室」を実施した2グループで構成した。 アンケートのみを実施したグループの結果については、調査回答者240名のうち、有効回答は231名(96.3%)であった。飲酒状況については、AUDITは、有効回答176人のうち、0点が16人(9.1%)、1-9点が126人(71.6%)、10-19点が29人(16.5%)、20点以上が5人(2.8%)であった。AUDITの点数が高い群の方が低い群に比べて、減酒する自信の平均値の値は低く、専門医療機関を受診する動機の平均値も低かった。このため、アルコールの早期介入を目的とした一次予防を行うことが重要であると示唆された。 アンケートとアルコール健康教室を実施したグループの結果については、分析対象者55名の結果を集計した結果、飲酒状況については、AUDITは、有効回答38人のうち、0点が3人(7.9%)、1-9点が30人(78.9%)、10-19点が5人(13.2%)、20点以上が0人(0.0%)であった。 アンケート後にアルコール健康教室を全3回実施した。それぞれの回の後に教室評価を実施した。AUDITの点数が高い群(10-19点)の方が、低い群に比べて、3回目の教室を通して、「お酒の量を減らしたい、あるいは止めたいという気持ち」についての平均値が高くなった。全体の解析結果から、参加者がアルコール健康教室を通して節酒の重要性を考え、アルコールについての理解が深まったと思われる。
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