研究課題
本研究は、我が国の難治性パニック障害患者の病態に沿うよう改良した集団 ACT プログラム を開発し、パニック障害全般の症状改善を前後比較研究にて検証するものである。現在はプログラムが完成し、臨床施行を続けている。その一部はケーススタディーとして国際学会にて発表した。開発したプログラムを重篤な身体疾患とパニック障害を持つ患者に試行し良好な治療効果が得られたため、「動悸の後に心肺停止となった経緯のあるパニック症患者にアクセプタンス&コミットメント・セラピーを施した一例」として認知療法・認知行動療法学会にて報告した。またパニック障害のグループ認知行動療法を受けた患者について「不安感受性はパニック障害の認知行動療法後の精神症状を予測する」「パニック障害患者に対する認知行動療法における精神症状とQOLの関連」「パニック障害の認知行動療法における不安感受性と併存精神症状の関連」という論文を発表した。申請当時は我が国における ACT の治療者はごくわずかであったが、プログラム施行を通じて治療者育成を進めており、将来的にプログラムの臨床普及への一助となる。ケースのリクルートはやや遅れているものの、継続的にグループミーティンクを行い、研究進行に関する問題点をその都度解決している。
3: やや遅れている
プログラムの修正は難治性に適したものが完成しており臨床施行している。ケースのリクルートはやや遅れている。なぜなら、本研究は過去に当院で認知行動療法を受けたが改善しなかったパニック障害の患者が対象の研究であるため、該当者の中には、連絡のつかないもの、すでに転居しているもの、自然寛解したものなどがいる。目標症例数を達成するために「過去に当施設で認知行動療法を受けたが治療反応が得られなかったもの」という適格基準を緩め、対象者を難治性パニック障害に拡大しリクルートしている。
本年度の目標は現在の目標症例数である30例の治療を終了し、解析を行い、論文作成に取りかかることである。また、随時学会、雑誌などでケーススタディーを報告していく。本研究の研究の推進方策としてはリクルートの効率を上げることである。今後もリクルートの状況と研究推進のための対策を、定期的な研究ミーティングでしディスカッションしていく。
本年度の国際学会の発表を見送り、次年度に持ち越したため。繰越した研究費は国際学会に参加するための費用に充てる予定である。
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すべて 雑誌論文 (2件) 学会発表 (5件) (うち国際学会 1件) 図書 (1件)
Journal of Psychiatric Research
巻: 102 ページ: 192-200
Neuropsychiatric Disease and Treatment
巻: 13 ページ: 1835-1840