研究課題
がん患者の50~60%は進行・再発によって治癒不能となり、死の転帰をたどる。よって、「治癒不能」を意味する「進行・再発」の精神的なストレスは、初発時よりも大きい 。全身状態の確実な悪化が予測される中、精神状態を改善・維持することは患者の生活の質(QOL)を保つために重要かつ不可欠である。そこで、埼玉医科大学国際医療センター精神腫瘍科では、進行・再発がん患者を対象とした集団精神療法を実施している。これまでの研究により、本集団精神療法の有益性は示唆されているため、本研究では本治療法の普及を目的とした集団精神療法プログラムの開発としている。本研究は、①治癒不能がんを対象とし、②がん種を限定せず、③集団精神療法として、④認知再構成と心的外傷後成長(PTG)を目指した、⑤月1回実施の単回プログラム構成の5点を組み込んだプログラムでの開発を目的としている。平成27年度は当初の計画通り、研究1として「治療に参加した患者の身体・精神状態推移の評価(診療録後方視的調査)」を実施し、本研究の予備的研究として、研究開始時までの治療参加者全員を対象とし、身体・精神状態の推移、PTGの生起を診療録から後方視的に評価し、改善・成長について検討した。後方視的調査では約30名の予定であったが、参加者は現在までに40名となり、より多くの症例対象とした調査を行った。また、再発進行がん患者とその後の家族(遺族)の症例について検討し、国際学会(World Congress on Psychosomatic Medicine)において発表を行った。
2: おおむね順調に進展している
前述の通り、症例数30を予定していたが平成27年度に40名の症例を集積することができた。よって、これらの症例よりより詳細な背景データを得られると考えられるため、昨年度・本年度の計画もおおむね順調に進展していると判断した。
本研究は当初の計画通り、今後も進めていく。
本年度は購入を予定していたパソコンやソフトを購入せず、研究を遂行することができたため、次年度使用額に変更が生じた。
次年度は研究に対して使用するパソコンやソフトを必要時に購入し、今後の研究計画にそって研究をすすめていく。
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Palliat Support Care
巻: 13(6) ページ: 1787-1790.
10.1017/S1478951515000541.