研究課題
がん患者の50-60%は進行・再発によって治癒不能となり、死の転帰をたどる。よって、「治癒不能」を意味する「進行・再発」の精神的なストレスは初発時よりも大きい。全身状態の確実な悪化が予測される中、精神状態を改善・維持することは患者の生活の質(QOL)を保つために重要かつ不可欠である。そこで、埼玉医科大学国際医療センター精神腫瘍科では、進行・再発がん患者を対象とした集団精神療法を実施している。これまでの研究により、本集団精神療法の有益性は示唆されているため、本研究では本治療法の普及を目的とした、集団精神療法プログラムの開発としている。本研究は、①治癒不能がん患者を対象とし、②がん種を限定せず、③集団精神療法として、④認知再構成と心的外傷後成長(PTG)を目指した、⑤月1回実施の単回プログラム構成の5点を組み込んだプログラムでの開発を目指している。平成29年度は「治療に参加した患者の身体・精神状態推移の評価(診療録後 方視的調査)」を継続して実施し、治療参加者全員を対象とした、身体・精神状態の推移、PTGの生起を診療録から後方視的に評価し、改善・成長について検討した。後方視的調査では48名のデータを集積し、参加開始時、欠席時、最終参加時の身体・精神状態、さらにデータ集積中に病状悪化のために死亡したケースは死亡日の情報を加え、最終参加日から死亡日までの日数から、終末期でも参加できる治療法としても検討している。しかし、統計解析の実施には十分なサンプル数が得られない可能性があり、研究方法を再検討し、医学的データを数量的に扱い、集団精神療法の中で語られた言葉を質的に分析する方法へ研究手法を変更した。また、本研究を継続するなかで、研究対象者であった患者の身体症状の悪化に伴う、精神症状の悪化とその改善について症例研究を行い、論文を発表した。
すべて 2018 2017
すべて 雑誌論文 (5件) (うち査読あり 5件、 オープンアクセス 2件) 学会発表 (3件) (うち国際学会 3件)
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