「こころの専門家」とは何者か。彼らはいかなる来歴を持ち、社会の中でいかなる機能を担い、そして社会にいかなる変化をもたらしてきたのか。1980 年から現在までの沖縄県での「こころの専門家」の誕生とその発展の歴史を記述することを通して、「こころの専門家」が文化の網の目の中でいかにして専門職として成立するのかの人類学的な理論モデルを生成した。それはベックのいう「第2の近代化」に即して、国家と学術団体が制度面と人材養成面で主導的な役割をはたすことで成し遂げられたものである。今後は諸外国との比較を行うことで、制度面での不備をいかに市場というアクターが補いうるのかを検討していく。
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