研究課題
本研究では, 「抑うつ関連行動」という客観的に観察可能な指標を用いることで,保護者や担任が,児童生徒の抑うつ症状の把握,共有,対応を可能にすることをねらいとする。具体的には,抑うつ症状の「把握」を目的とし,保護者が測定する「家庭用子どもの抑うつ関連行動チェックリスト」と学校の担任が測定する「学校用子どもの抑うつ関連行動チェックリスト」を開発する。この2つのチェックリストを用いることで,保護者と担任が対象児童生徒の抑うつ症状を「共有」することが可能になる。さらに,児童生徒,保護者,担任を1つのユニットとした抑うつ低減プログラムを開発し,子どもの抑うつへの「対応」を可能にする。平成27年度は,児童生徒の抑うつを中心とした心理的ストレスに影響を及ぼす変数についての検討を中心に行い,児童における認知的評価と対処方略の関連について明らかにするとともに(小関ら,2015;ストレス科学研究),児童生徒を対象としたさまざまなストレスイベントと認知行動療法の有効性について,展望を行い,本研究計画の方向性を定める研究を実施した(小関ら,2016;桜美林論考心理・教育学研究)。加えて,小1プロブレム対策としての就学支援プログラムの展望(小野・小関,2016;桜美林大学心理学研究),中学生を対象とした攻撃行動に対する一次予防的介入に関する展望(立花・小関,2016;桜美林大学臨床心理センター年報),中学生の子どもをもつ親の子育てストレスの展望(曽我部・小関,2016;桜美林大学心理学研究)を行うことによって,関連する領域の研究動向を明らかにした。
2: おおむね順調に進展している
研究課題全体の方向付けを行うことができ,また児童生徒の抑うつに関連する研究動向を明らかにすることができた。また,介入に関しても,パイロットスタディを実施することができ,研究全体が進行していると考えている。その一方で,データ数が不足しているため,次年度も継続して研究を実施していく。
すでに,抑うつのチェックリストについての研究は進めつつあるが,十分なデータの確保まで至っていないため,今後も継続して実施する。加えて,地域性の問題をクリアにするため,日本各地での調査を予定している。また,最終的な目標である抑うつ低減プログラムの作成のために,介入を試行し,問題点や有効性について明らかにしていく。
ほぼ予定通りの使用であり,英文校正費の確定等によって,若干の差異が出た。
国際学会での発表を予定しており,その経費として算入する。
すべて 2016 2015 その他
すべて 雑誌論文 (9件) (うち査読あり 8件、 謝辞記載あり 9件、 オープンアクセス 2件) 学会発表 (12件) (うち国際学会 5件) 図書 (1件) 備考 (1件)
ストレスマネジメント研究
巻: 12 ページ: 印刷中
巻: 11 ページ: 印刷中
桜美林論考 心理・教育学研究
巻: 7 ページ: 印刷中
桜美林大学心理学研究
巻: 6 ページ: 33-44
巻: 6 ページ: 44-57
桜美林大学臨床心理センター年報
巻: 13 ページ: 4-17
ストレス科学研究
巻: 30 ページ: 52-60
巻: 30 ページ: 77-82
認知療法研究
巻: 8 ページ: 258-268
http://www2.obirin.ac.jp/skoseki/index.html