本研究では,「抑うつ関連行動」という客観的に観察可能な指標を用いることで,保護者や担任が,児童生徒の抑うつ症状の把握,共有,対応を可能にすることをねらいとした。平成29年度は,児童生徒を対象とした抑うつ低減プログラムの実施と有効性の検討を行った。 これまでの成果として,児童の抑うつに影響を及ぼし,児童の抑うつ低減プログラムにおける操作変数の1つとして扱うことが可能な行動活性/抑制傾向を測定する質問紙を作成し,その信頼性と妥当性の検討を行った(小関ら,印刷中)。また,行動活性/抑制傾向に代表されるような,特性的な要因の変容を確認することが,児童生徒を対象とした集団介入の有効性を示す指標として重要であることを示した(小関,2018)。その他,本研究課題を発展させる位置づけとして,高等学校における特別支援教育の場で,本研究課題で構築されたプログラムを展開することの可能性の検討や(高田ら,2018),児童発達支援センターにおける展開の可能性を探る研究(小関ら,2017),特別支援学校教員を介しての実践の試行(小関・土屋,2017),未就学の子どもを対象とした早期介入の可能性の検討(小野ら,2017)を行った。 このような研究の成果として,児童生徒を対象とした際の抑うつ低減効果を実証する介入プログラムの構築が可能になった。介入プログラムの成果については,その一部をすでに発表している(土屋ら,2017)。その他の成果についても,学会での発表,学会誌への投稿と掲載により,広く公表している。
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