本研究は、難治性不眠症の特徴である睡眠状態誤認の病理の解明と睡眠状態誤認を有する不眠症に対する有効な心理的治療の確立を目的としたものである。本研究では、1)睡眠に関する不安を測定する心理尺度を作成し、2)睡眠に関する不安が不眠症者の不眠症状の重症化に関連すること、3)ストレスに敏感な特徴を持つ者が不眠症状を有する場合に抑うつ症状が重症化することを明らかにした。さらに、4)難治性不眠症者に対して申請者が開発した新しい心理療法を実施したところ、症状の改善に有効である可能性を示すデータを得た。これらの研究結果は難治性不眠症者の病態の解明および有効な治療法の開発に資するものであると考えられる。
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