29年度は、マーケティングの専門家である里親の協力を得て、インフォマーシャルの手法を用いて里親制度の広報に関するフォトムービーを制作し、その広報効果を調べた。フォトムービーは、目標設定、ターゲッティング、方法選択、ストーリー設定、編集という手順で制作した。目標設定では、①里親養育をイメージできる視覚的刺激、②共感を生むメッセージ、③ネガティブなイメージの払拭、④壮絶で色濃い体験談との差別化、⑤支援行動のトリガになること の5つを設定した。そして里親をよく知らない視聴者をターゲットに、里親子の出会いから家族形成までの映像に、親から子へのメッセージを加え、12分のフォトムービーにまとめた。そして、心理学を学ぶ10~40代の大学生・大学院計122名を対象にフォトムービーの視聴前後の変化を調査した結果、里親に対するイメージが快活で親近感のあるイメージへと変化し、さらに里親養育に対する態度も協力的な方向へ変化することが明らかになった。 この成果を29'th Internnational Congress of Applied Psychplpgyにエントリーし、採択されたため、2018年6月にカナダのモントリオールにてポスター発表することとなった。 また、この調査で用いた里親に対するイメージを測定する尺度と里親養育に対する態度を測定する尺度について、尺度の信頼性と、二つの尺度の関連について統計的分析を行った。尺度の信頼性については確認ができ、また二つの尺度の関連から里親養育の活用を阻む里親イメージについての示唆が得られた。この成果を日本子ども家庭福祉学会第19回全国大会において、2018年6月に発表を行う。
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