研究実績の概要 |
本研究は、知覚制御理論(Powers, 2005)の観点から、心配にまつわる個人的目標間の葛藤とストレスの関連性について検討を行うことであった。 平成27年度及び平成28年度の調査では、心配にまつわる個人的目標間の葛藤を調べるために、まず心配の定義を示した上で、最近経験した心配な出来事の内容の記述を求めた。その後、心配する理由及び心配しない理由について、それらの重要度の評定を求めることによって、心配にまつわる個人的目標間の葛藤を測定した。平成29年度は、これらのデータを解析することによって、上記の調査法による葛藤の測定について、妥当性を更に向上させる必要性が明らかになった。よって、心配にまつわる個人的目標間の葛藤の測定方法について、研究論文の展望や学会での情報収集を通して、多面的に検討を行った。 平成30年度は、新たな心配にまつわる個人的目標間の葛藤の測定法を用いた調査を実施し、葛藤とストレスの関連性を検討することを予定していたが、知覚制御理論の観点から個人的目標をより精緻に捉える必要が生じたため、理論的考察を主に行った。 具体的には、ベックの認知療法におけるスキーマの概念を知覚制御理論の観点から捉え直すことを通して、ある種の個人的目標には、スキーマと類似した機能があることを考察した。個人的目標がストレスを生じさせる葛藤のあり様について、スキーマとネガティブな感情の関連性を基に、考察を深めた。以上の考察について、論文にまとめ、出版した。
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