研究課題/領域番号 |
15K17310
|
研究機関 | 早稲田大学 |
研究代表者 |
田代 恭子 早稲田大学, 人間科学学術院, 助手 (70735414)
|
研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2017-03-31
|
キーワード | 食行動異常 / 認知課題 / 認知行動療法 / 脳波 |
研究実績の概要 |
目的:本研究は、「食事」や「体型・体重」に関する特異的な態度や価値観といった認知的変数と食行動異常の関連を測定するため、特定の概念における個人の記憶内の潜在的な連合の強さ(たとえば、「痩せ」と「良い」)を測定する課題である、Implicit Association Test(以下IATとする)が用いた。具体的には、「食事」に対する評価(良い、悪い)と食行動異常の程度との関連と、「食事」に対する行動傾向(接近、回避)と食行動異常の程度との関連を記述的に記述的に検討することを目的とした。方法:参加者の「食事」や「体型・体重」に関する概念と「接近・回避」に関する概念の刺激選定を行ったIATに加え、IAT課題中の脳波測定および食行動異常に関する質問紙を用いて、各指標間の関連性を検討した。女子大学生を対象として,インフォームド・コンセントを得た後、質問尺度への回答を求め、IAT課題の実施および脳波の測定を実施した。予備的データにおいては、実験参加者15名をOvereating群とNon-Overeating群に群分けして分析を行ったところ,顕在指標において、Overeating群はNon-overeating群と比較してダイエット行動得点が高い傾向(p = .07)が視察された。このことから、Overeating群は、普段から「食べたいけど我慢する、けど食べたい」という食物に対する接近と回避の間で葛藤を感じており、その迷いの程度が反応潜時の長さに反映された可能性がある。今後は、実験参加者を増やして、関連陰性電位の発生源の推定なども検討していく予定である。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
平成27年度は、認知課題と脳波指標を同時測定するための準備および予備実験を行い、データ収集および分析を行う予定になっていた。認知課題の作成と脳波指標測定の準備および予備実験まで進むことができたことは成果といえる。しかしながら、認知課題と脳波指標を連動させる手続きおよび脳波指標の分析方法の検討に、予想を上回る時間がかかり、結果として、本実験のデータが十分に集まらず、実施報告書のまとめにいたらなかったことが反省点である。したがって、平成28年度も当初目標としていた標準データとするまでの十分なサンプル数が収集するために,引き続き同様のデータを収集する必要がある。
|
今後の研究の推進方策 |
平成27年度と同様の手続きを用いて,サンプル数を増やすとともに,認知課題における潜在的態度と食行動異常の関連性について脳波指標を用いながら記述的に検討する予定である。
|