本研究の目的は,大学生を対象にざ瘡と社交不安症状の関連について表情認知に焦点をあて検討することであった。調査の結果,ざ瘡を有する大学生の約半数は,社交不安と抑うつ症状を抱えていることが明らかとなった。結果をふまえ,ざ瘡を有する者を対象に表情刺激に対する注意(回避)についてアイトラッカーを用いた実験を行った。その結果,社交不安症状の中でも「回避行動」が重要であり,回避行動は「他者表情」が誘発刺激となっていることが明らかとなった。このことから,社交不安患者と同様に表情への曝露や表情の感情価に対する適切な評価のためのトレーニングなどを実施することで,日常生活上の問題が改善する可能性が示唆された。
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