研究課題/領域番号 |
15K17314
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研究機関 | 福岡工業大学 |
研究代表者 |
小田部 貴子 福岡工業大学, その他部局等, その他 (80567389)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | レジリエンス / ネガティブ感情 / 対人関係 |
研究実績の概要 |
本研究では,私たちがしばしば体験する「対人関係場面でのネガティブな感情を伴う体験」(Interpersonal Experiences with Negative Emotions: 以下:IENE)に焦点を当て,その心理的ダメージから回復し,新たな学びを得るための効果的な自己内省ならびに自己制御のメカニズムを解明することを目的としている。 平成27年度においては,次の2点に重点を置き,調査及び実験的研究を行った。第1に,IENE後の感情的処理と認知的処理との間の相互影響過程の解明及びその個人差について解明するための実験的研究を行った。過去に作成したIENEに対する対処の4タイプ分け尺度(感情的処理と認知的処理の組み合わせ)を用い,タイプごとに自己評価,振り返り時の感情,想起の視点等との関連を分析した結果,双方の処理をバランスよく行うタイプは,客観的な視点からも想起し,振り返り時の感情が穏やかであり,他者評価とのズレが少ないことが分かった。第2に,IENE体験に対する「レジリエンス」を客観的に測定・実感できる,新たな測定道具や手法の開発を行った。ネガティブな対人やりとりを収録したテープを刺激として与えたときの回復の状態を,脳波における1/fゆらぎを二回微分することによって算出される値を用いて可視化することができた。なお,これらの結果について,国内,及び国際発表し,現在,論文を執筆している。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
実験の結果のまとめと考察に時間を割いていること,また実験結果を踏まえて実験デザインの再設計が必要と思われる部分があり,平成28年度の計画を調整中である。
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今後の研究の推進方策 |
平成28年度には,次の2点を重点的に行う。第1に,開発したツールと質問紙調査を組み合わせ,実験を追試して検証するとともに,個人差に応じた効果的な内省・制御方略を具体的に考案する。第2に,IENEを乗り越え,そこから学んでいる個人に焦点を当て,詳細なインタビュー調査等を実施して長期的なプロセスを解明する。さらにその結果を典型的なパタンとして整理し,支援策をまとめる。
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次年度使用額が生じた理由 |
及び調査依頼に必要と考えていたトナー・用紙類を既存のもので賄い購入の必要なかったこと,また,調査及び実験結果の分析が遅れたことにより,データ整理及び発表,次の実験で必要な機器等の購入が遅れたことにより,未使用額が生じた。
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次年度使用額の使用計画 |
未使用分については,次年度実施予定の調査及び実験的研究に使用する材料及び書籍購入 に充てる予定である。
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