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2015 年度 実施状況報告書

国民の取調べに対する評価とその影響要因の検討

研究課題

研究課題/領域番号 15K17317
研究機関科学警察研究所

研究代表者

和智 妙子  科学警察研究所, 犯罪行動科学部, 主任研究官 (30415442)

研究期間 (年度) 2015-04-01 – 2018-03-31
キーワード取調べ / 国民の意見 / 発問方法
研究実績の概要

警察では、2009年4月より裁判員裁判対象事件の取調べの一部録音・録画の試行が全国的に始まり、2016年5月には裁判員裁判対象事件の取調べの全過程録音・録画の義務化を含む刑事司法改革関連法が成立した。このような状況にあり、近年では公判で裁判員が取調べ場面を録画したDVDを評価する事例も出てきている。しかし、裁判員となりうる国民が取調べに対してどのような態度や意見を持っているかに関する研究は、日本だけではなく欧米でもほとんど行われてこなかった。今後ますます録画された取調べが公判で検討されるであろうことを考慮すると、国民がどのような取調べを公正とみなすかを検討することは急務であろう。本研究では、国民が公正で効果的とみなす取調べスタイルを明らかにし、被疑者の自白の信用性、さらには有罪・無罪の判断への影響を検討することを目的としている。
研究初年度である本年度は、実際の事件の取調べを参考にしながら、来年度のインターネット調査で利用する調査票を作成した。取調べ場面を録画したDVDが公判で放映されることを考慮し、調査票は、事件の概要と取調べのスクリプト(取調べ官と被疑者のやりとりを描写したもの)を含むように作成した。この調査票を利用して、69名の大学生・大学院生を対象に予備調査を実施した。その結果、心理学的に好ましいと言われている発問方法を多く含む取調べの方が、そうでない取調べよりも、公平で高圧的ではないと見なされた。また前者の取調べで被疑者が自白した場合の方が、自白はより自発的で信頼できると見なされる傾向が高かった。さらに取調べ手法は参加者の有罪・無罪の判断にも影響を与えていた。これらの結果は、参加者が心理学的に好ましいとみなされる手法とそうではない手法を区別できていることを示唆しているが、大学生・大学院生が対象であったため、来年度は広く一般国民を対象に調査を行う予定である。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

当初の計画どおり、大学生・大学院生を対象に予備調査を実施し、データの整理・分析を行ったため。

今後の研究の推進方策

予備調査の結果を基に、本調査用の調査票を修正する。修正した調査票を利用して、一般国民を対象にインターネット調査を実施し、データの整理・分析を行う。

次年度使用額が生じた理由

海外出張のための旅費が申請時の見積もりより安かったため。また、資料整理、調査票印刷、データ入力等のために研究補助員を雇いあげず、代表者本人が行ったため。

次年度使用額の使用計画

一般国民を対象にインターネット調査を実施する際に、翌年度分として請求した助成金と併せて利用する予定である。その際、申請時に予定していた参加者数よりも多くの参加者を募集して、調査を実施する。

  • 研究成果

    (1件)

すべて 2016

すべて 学会発表 (1件) (うち国際学会 1件)

  • [学会発表] University students' opinions towards interviewing styles and the guilty verdict2016

    • 著者名/発表者名
      Taeko Wachi
    • 学会等名
      American Psychology-Law Society 2016
    • 発表場所
      Atlanta
    • 年月日
      2016-03-11
    • 国際学会

URL: 

公開日: 2017-01-06  

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