研究課題/領域番号 |
15K17318
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研究機関 | 大分大学 |
研究代表者 |
村上 裕樹 大分大学, 福祉健康科学部, 准教授 (40600325)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | 情動制御 / 脳 / マインドフルネス / メタ認知 |
研究実績の概要 |
マインドフルネスにおいて主要な要素であるメタ認知機能について,より客観的な測定法を用いて検討するとともに,マインドフルネス傾向との関連性や脳の情動反応との関連性について,fMRI(脳機能画像法)を用いて検討した。 平成29年度は28名の実験を遂行し,不快な画像に対して,前部島皮質,扁桃体などの情動反応に関する部位やその制御に関わる背外側前頭前野の活動が観察された。さらに不快な画像を呈示している際にマインドフルネス傾向の高い人がより活動する領域として,内側前頭前皮質が観察された。この脳領域は消去に関連する部位であり,また,副交感神経活動とも関連することが知られている。一方,マインドフルネス傾向の低い人がより活動する脳領域として,海馬傍回,前部島皮質,背外側前頭前野が観察された。これらの領域は前述の不快な刺激を呈示した脳領域とオーバーラップする。背外側前頭前野は,ワーキングメモリー課題など認知的負荷のかかる課題を遂行している際に活動する脳領域であり,マインドフルネス傾向の低い人が,不快な状況において認知的負荷をかけて何らかの対処をしようとしていると推測される。このような認知的負荷が長期的にかかることによって,ストレス反応が持続し,うつ病などの精神疾患につながることも考えられる。 さらに,これまでに得られた知見について国際学会にて研究発表をするとともに研究者間の交流を深め,研究分野の最新の知見についての情報を収集した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
所属期間の変更に伴い実験施設を変更したため,改めて装置を有する施設の承認や倫理審査を受ける必要が生じ,加えて新たに実験協力者を募る必要が生じたため。
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今後の研究の推進方策 |
実験を進め結果の妥当性を高める。メタ認知能力を測定する課題についての解析を進め,脳活動との関連性,マインドフルネス傾向との関連性について検討する。そして,これまでの研究成果を発表するとともに論文にまとめる。
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次年度使用額が生じた理由 |
所属期間の変更に伴い実験施設を変更したため,改めて装置を有する施設の承認や倫理審査を受ける必要が生じ,加えて新たに実験協力者を募る必要が生じたことにより研究が遅延したため。 実験を進め,その成果を発表し,論文にまとめるための費用として使用する予定。
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