研究課題/領域番号 |
15K17319
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研究機関 | 国立研究開発法人国立精神・神経医療研究センター |
研究代表者 |
加藤 典子 国立研究開発法人国立精神・神経医療研究センター, 認知行動療法センター, 研究員 (90741421)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | 認知行動療法 / 統一プロトコル / 集団認知行動療法 / 不安症 / うつ病 |
研究実績の概要 |
本研究は、うつと不安に対する診断横断的認知行動療法の1つである統一プロトコルを、集団療法として日本に適用した場合の有効性と実施可能性を検討することを目的とする。 平成27年度には、統一プロトコル集団版を日本で実施するためのマニュアルとマテリアルを整備した。また、集団療法の有効性と実施可能性を検証するための前後比較試験のプロトコルを作成して、国立精神・神経医療研究センターの倫理委員会の承認を得て、患者リクルートを開始した。しかし、国立精神・神経医療研究センター病院においては、集団療法を実施できる数の研究協力者を集めることができなかった。 そのような背景から、当該年度である平成28年度には、前後比較試験の研究協力者を目標数までリクルートするために、慶応義塾大学医学部、医療法人社団ソラにしむらクリニックを共同研究期間として追加して、国立精神・神経医療研究センター、慶応義塾大学にて倫理委員会の承認を得て、共同研究機関における患者リクルートを開始した。さらに、同年7月には統一プロトコルの開発者であるBarlow博士の在籍する米国ボストン大学の不安障害関連センターを訪問して、統一プロトコルを集団療法として実施するうえでの留意点について助言を受けて、共同研究機関における介入を開始する前にマニュアルを改訂した。 平成28年度には、慶応義塾大学において9名の候補患者の紹介を受けて、9名全員が本研究の適格基準に該当することを確認して研究参加の登録を行った。にしむらクリニックにおいては、15名の候補患者の紹介を受けて、11名が登録となった。平成28年度に、慶應義塾大学で3名、にしむらクリニックで5名に対する介入を終えて、平成29年4月時点で、慶應義塾大学では4名に、にしむらクリニックでは6名に介入継続中である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究の計画においては、平成27年度に統一プロトコルの集団版のマニュアルとマテリアルの整備を行い、平成28年度から平成29年度にかけて統一プロトコル集団版の有効性と実施可能性を検証する前後比較試験を実施して、平成29年度に結果を解析することが予定されていた。 現在までに、平成27年度のマニュアルとマテリアルの整備、平成28年度の前後比較試験の開始と実施は当初の計画通りに進められている。また、平成29年8月には前後比較試験におけるデータの収集を終える見通しとなっており、平成29年度後半にデータの解析および成果発表を行う予定である。これらのことから、本研究課題は順調に進展していると判断した。
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今後の研究の推進方策 |
上述の通り、本研究は当初の予定通り進行している。平成29年度前半には、前後比較試験における介入が終了して、全ての参加者のフォローアップ時点の症状評価まで終える予定となっている。平成29年度の後半には、今回の前後比較試験によって得られたデータの解析を行い、学会での成果発表および論文化を行う計画である。また、今回の前後比較試験の結果を踏まえて、今後のより大規模な効果検証にむけての準備を進めて、マニュアルとマテリアルにさらなる改良を加えることを検討している。
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次年度使用額が生じた理由 |
平成28年度には臨床試験の実施のための費用を計上していた。しかし、国立精神・神経医療研究センターにおける患者リクルートが当初の予定どおりには進まなかったために、平成28年度の前半は、共同研究機関における臨床試験の準備を行った。そのため、実際の臨床試験の開始が平成28年度の後半にずれこみ、平成28年度の前半における臨床試験の運用にかかる経費が計上されなかったため、次年度使用額が生じた。
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次年度使用額の使用計画 |
平成29年度の前半には、現在実施中の前後比較試験を継続して、平成29年度後半には、臨床試験によって得られたデータの解析および成果発表を行う予定である。そのため、平成29年度には、臨床試験を運用するための人件費や物品費、データ解析のための統計ソフトの購入、成果発表のための海外旅費、論文執筆に際しての英文校閲の費用の使用を予定している。
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