研究課題/領域番号 |
15K17321
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研究機関 | 国立研究開発法人国立精神・神経医療研究センター |
研究代表者 |
大江 悠樹 国立研究開発法人国立精神・神経医療研究センター, 認知行動療法センター, 科研費研究員 (40722749)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | 過敏性腸症候群 / 認知行動療法 / 集団認知行動療法 |
研究実績の概要 |
本年度は京都大学、高槻赤十字病院と連携し、IBS(過敏性腸症候群、Irritable Bowel Syndrome)に対する内部感覚曝露を用いた集団認知行動療法(CBT-Interoceptive Exposure; CBT-IE)の介入研究を開始した。11名の紹介を受け、7症例を組み入れ、介入を実施している。これまでに重大な有害事象は生じておらず、症状もおおむね改善傾向にある。 IBSは慢性、再発性の経過をたどり、個人のQOLを大きく損なうとともに、繰り返しの検査や受診行動などによって医療資源にかかる負担も大きい疾患である。各国の治療ガイドラインではCBTが有効な治療として推奨されているが、我が国でその有効性を検証した研究はほぼ存在せず、実際に実施できる人材も不足している。本研究で取り上げたCBT-IEは海外でRCTによりその効果が実証されており、わが国でもパイロット試験で有効性が確認され、RCTが進められている。しかしその実施形態は患者と治療者との1対1の個人面接であり、我が国では認知行動療法の実施者が不足している現状から、普及には困難も大きい。そのため本研究では、CBT-IEを集団で実施できるよう修正し、その実施可能性や安全性を確認するとともに、将来のRCT実施へ向け有効性の検討をすることを目的としている。また、CBT-IEを我が国で広く実施するための基盤を整備することも本研究の目的である。作成された各種マテリアルは今後医療者向けに公開する予定であり、IBSに対するCBT普及の一助になることが期待される。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
研究実施施設の体制変更に伴い患者リクルート体制および研究実施体制の再構築が必要となった影響が大きく、介入試験の開始が当初の予定より大幅に遅れたため。
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今後の研究の推進方策 |
本研究の進展の遅れには研究実施施設の体制変更に伴い患者リクルート体制の再構築が必要となったことが大きく影響している。この状況を解決するため、京都大学および高槻赤十字病院と研究協力関係を構築し、29年度より共同研究を行っている。 京都大学では消化器内科医資格を持つ学生の協力を得て、介入試験を開始した。現在までに11症例を組み入れ、試験を進めている。 平成30年度も試験を進め、同年度前半には介入を終了できる見込みである。その後同年度中に論文執筆、出版を目指す。
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次年度使用額が生じた理由 |
計画変更により、昨年度より主に京都大学および高槻赤十字病院にて介入を実施することになった。本年度中に介入を完遂することができておらず、平成30年度も研究協力者への人件費、そして京都大学および高槻赤十字病院までの往復の交通費および宿泊費を使用する必要性が生じたため。
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