研究課題/領域番号 |
15K17323
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研究機関 | 公益財団法人ひょうご震災記念21世紀研究機構 |
研究代表者 |
田中 英三郎 公益財団法人ひょうご震災記念21世紀研究機構, その他部局等, 研究員 (20743040)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | 災害 / トラウマ / 予防 |
研究実績の概要 |
本研究の目的は、災害、事故、事件等のトラウマ体験を有する子どもとその教師や保護者を対象に、主に学校で実施可能なこころのケア手法である“サイコロジカルファーストエイド学校版(PFA-S)”の日本語版を開発普及することである。平成27年度は、英語通訳の経験のある臨床心理士や学校危機を専門とする専門家などの協力のもと、PFA-Sマニュアルの日本語版草稿を完成させた。PFA-Sを構成するコンポーネントには、トラウマの心理教育、問題解決法、対人関係の調整、ストレスマネイジメントが含まれているため、研究代表者は関連する学会や研究会に参加して、それぞれの技法を効率良く普及していく方法について学び、また当該分野の専門家と意見を交換した。このようなプロセスを通して、PFA-S普及のための研修プログラム案を作成した。平成28年1月には、PFA-Sマニュアル日本語版の草稿、研修プログラム案に基づき兵庫県内の教職員数名を対象に、半日研修を実施した。この研修内容は、参加者の同意を得た上でビデオ撮影し研修プログラム案の改善に役立てた。 平成28年4月にも熊本で大きな地震が発生したように、日本では自然災害から目を背けて暮らすことはできない。地震をはじめとしたトラウマ体験は、子どもたちのこころに大きな影響を与えるが、これに対処するためには平時からの備えが最も重要である。我々が開発中のPFA-S日本語版は、トラウマ体験によるストレスス反応にいかに対処すべきかの必要十分な指針を示している。平成28から29年度は、PFA-Sマニュアルの日本語訳を推敲しより理解しやすいものにしていくとともに、広く普及のための研修を実施していく予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
研究計画通りPFA-Sのマニュアルの日本語版が完成しつつある。今年度のPFA-Sの開発者らの日本への招聘はスケジュールの調整上困難であったが、研究代表者が関連する学会や研修会に参加して必要な知識の充填と、当該分野の専門家との意見交換を実施することができた。
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今後の研究の推進方策 |
平成27年度の開発したPFA-Sマニュアル日本語版及び研修案に基づき、普及のための研修を実施していく予定である。研修前後で、子どものこころのケアに関する主観的態度、自己効力感、実際の行動等を、質問紙を用いてチェックすることで、研修効果を評価していく。また、研修受講者からもフィードバックを得て、PFA-Sマニュアル日本語版及び研修案の最終版を完成させる。
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次年度使用額が生じた理由 |
文具等の小額の物品を今年度使用しなかったために残額が生じた。
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次年度使用額の使用計画 |
当初の計画通りの平成28年度予算に加えて、平成27年度の残額は研修会の資料、文具等に使用予定である。
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