研究課題
人間が他者の信頼性について判断をする際には,その人物の顔,評判,実際の交流経験など,種々の情報源を活用する。本研究課題は,そうした様々な情報源にもとづく他者の信頼性判断を検討する一連の実験を遂行し,人間の信頼性判断がどのような特徴をもち,その背後にどのようなメカニズムがあるかを明らかにすることを目指している。以上の目的を達成すべく,平成29年度には以下の2点を主に遂行した。(1)昨年度に引き続き,顔からの他者の信頼性判断,および,評判の学習によってその判断が更新されるプロセスの背景にある認知・神経過程を探るため,機能的磁気共鳴画像法(fMRI)を用いた実験をおこなった。具体的には,参加者にとって未知の人物の信頼性を判断し,その判断に対するフィードバックを得るという課題をおこなっている間の脳活動を計測した。高齢参加者と若年参加者の脳活動を比較した結果,自分がおこなった顔にもとづく信頼性判断が誤っているとわかった時におけるメンタライジングや動機づけに関わる脳領域の活動が若年者よりも高齢者で弱いことが明らかになった。本成果はOrganization of Human Brain Mappingの2017 年大会で既に報告され,現在,論文を執筆中である。(2)信頼性判断に影響する要因として,新たに“信念”に着目する研究をおこなった。具体的には,信頼性に限らず顔からあらゆる特性を判断できるという全般的な信念(人相学的信念)が存在すると考え,この信念と顔にもとづく信頼性判断との関連を検討した。研究の結果,人相学的信念の存在が実証され,また,この信念が強い人ほど顔から極端な信頼性判断をおこなうことが明らかになった。本成果は既に日本心理学会第81回大会で発表され,Social Psychological and Personality Science誌に論文が採択されている。
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Social Psychological and Personality Science
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https://doi.org/10.1177/1948550617734616
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