本研究課題は,他者の信頼性の判断に影響を与える種々の要因とその背後にあるメカニズムについて検討することを目的としていた。主に3つの興味深い知見が得られた。具体的には,(1) 高齢者の信頼性判断は顔の影響を受け続けやすいこと,(2) 信頼できない行動に関する情報は当該人物の顔の見え方を変え,そうした顔知覚の変化が信頼性の印象の更新を妨げること,(3) あらゆる特性を顔から判断できるという信念が顔からの信頼性判断を極端化すること,である。これらの成果は,信頼性判断の心理学に重要かつ新規な貢献をしたといえるだろう。
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