研究課題/領域番号 |
15K17329
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研究機関 | 札幌医科大学 |
研究代表者 |
板口 典弘 札幌医科大学, 保健医療学部, 研究員 (50706637)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | 書字 / 空書 / 認知 |
研究実績の概要 |
書字運動と認知処理に深く関わる日常的現象として,空書という現象が知られている。空書とは,私たちが何か漢字や英語のつづりを思いだそうとする際に指を使用して“書字”してしまう現象である。この現象は,特に漢字文化圏にのみ集中して見られることも大きな特徴である。本邦においては,1983年に始まる佐々木らの研究が有名である。しかしながら,その萌芽的研究以降,空書において運動そのものが認知処理にどのような影響を与えるかは未だ明らかでなかった。 本研究では,まず空書が認知課題処理に与える促進的影響について,どのような成分が寄与しているのかを検討した。具体的には,空書の視覚成分(と運動成分のどちらが認知的な促進効果をもたらすのかを検討した。実験では,漢字構成課題を使用した。漢字構成課題とは,分解された漢字のパーツから元の漢字を再構成する課題である(Sasaki 1987)。また,漢字構成課題と要求が異なる認知課題として画数カウント課題を用いた。 空書行動が認知課題に与える影響を検討する際,空書を許可する条件,禁止する条件,および空書とは関係のない運動を行う条件の3条件を設けた。3つ目の条件は先行研究では検討されていない新しい条件であり,本研究で検討したい運動の要素を統制する条件である。さらに,視覚FBに関する条件として,画面を注視する条件と,手指を注視する条件を設けた。 実験の結果,手指を注視する条件においてのみ,空書遂行による漢字構成課題の促進効果が得られた。一方で,文字画数カウント課題においては,視覚条件に関係なく促進効果が得られた。この結果は,空書が文字を思い出すという認知活動に影響を与える原因は,運動そのものではなく,視覚的な成分の再構築にあることを示唆した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
脳損傷患者に対しての実験はまだ実施できていない。ただしその分健常者研究において予想以上の成果を出した。また来年度の計画に必要である実験機器の調整は順調に進んでいる。
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今後の研究の推進方策 |
引き続き,計画通りに研究を推進する。脳損傷患者のリクルートが困難な場合に備えて,健常高齢者のデータ取得を目指し,脳損傷患者一名における症例報告が行えるように準備を整える。
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次年度使用額が生じた理由 |
所属機関の規定により,当初計画していた学会出張(旅費)に研究費を使用することができなかった。そのため,大幅に使用計画を改変する必要があった。これに伴い,小額の繰越額が生じた。
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次年度使用額の使用計画 |
繰越額は小額であるため,基本的な使用計画に変更はない。繰越額は,実験遂行に必要な消耗品に使用する。
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