研究課題
本研究の主たる目的は視覚的な運動から知覚される多様な質感(素材感)について、物理的に定義されている各種材質パラメータ(物性パラメータ)と心理物理学実験により測定した評定値との比較により動的な質感知覚メカニズムを解明することである。そのためには、物性パラメータを系統的に変化させ、それに対応した視覚的な質感の評定値との対応を検討する必要がある。2015年度には水平方向のバネ振り子運動について、バネの本数と運動開始時のバネの伸びを段階的に変化させることでバネ定数や弾性係数などの物性パラメータを系統的に操作し、光学的モーションキャプチャシステムによる測定を行った。2016年度は、これらの装置で測定した振り子運動のモーションデータをCGで作成したモデルに組み込み、運動情報以外の視覚情報を同一にしたパターンを作成した。これらのパターンを観察した際の視覚による動的質感について、測定に使ったバネと同様のものを実験参加者が指で引っ張った際の触覚による弾性感を基準とした評定実験を行った。結果として、評定値の傾向は、バネの本数の増加に伴い弾性の評定値も増加していく群と、その逆に減少していく群との2種類に分かれた。前者の群の評定値の変化は物理的な弾性の変化と合致しており、視覚による弾性判断が物性パラメータに応じて可能であることを示している。一方で、後者の群は物性パラメータの変化とは逆傾向となることと、開始時のバネの伸びの変化により評定値が変化しなかったことから、今後教示を含めたさらなる検討の必要がある。
すべて 2017 2016
すべて 雑誌論文 (3件) (うち査読あり 3件、 オープンアクセス 1件) 学会発表 (8件) (うち国際学会 3件)
Food Science and Technology Research
巻: accepted ページ: accepted
日本官能評価学会誌
巻: 20 ページ: 22-29
10.9763/jjsse.20.22
Scientific Reports
巻: 6 ページ: 34685
10.1038/srep34685