空間分解能に優れるfunctional magnetic resonance imaging (fMRI)、magnetoencephalography (MEG)及びelectroencephalography (EEG)を使用して視覚的ワーキングメモリの神経情報伝達をとらえ、ワーキングメモリの加齢変化の特徴を明らかにすることを試みた。 若年者の視覚刺激を保持する際に共通する脳ネットワークダイナミクスの個人解析を行い、視覚情報処理における背側ストリーム、腹側ストリームの存在を確認した。また、記憶負荷量(セットサイズ)の差によって頭頂および後頭の賦活が亢進することを示した。 Retest-test法を用いて上記の現象の再現性を確認したところ、fMRIをプライヤとして使用することは必ずしも電流源推定の精度を向上させるわけではないことを示した。3種の推定手法(Minimum-normをプライヤとしたVariational Bayesian multimodal encephalography、Minimum-norm単独推定、beamformer単独推定)を用いてMEGとEEGの推定精度を比較すると、MEGで推定された電流源の方が空間的相関が優れることを示した。 以上の結果を踏まえたうえで、視覚情報処理時における頭頂および後頭の賦活に着目した高齢者用ワーキングメモリの加齢変化検定プロトコルを作成し、若年者と高齢者とのパタンの差を吟味した。
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