研究実績の概要 |
本研究の目的は、多額の予算を要する学級規模縮小資金を如何に確保し、少人数教育の効果を最大限に引き出せるような学級規模縮小プログラムを継続的に実施するか、その制度的条件を明らかにすることである。具体的には、以下3つの研究課題を設定して研究を進めてきた。①学級規模縮小資金の運用実態の解明、②学級規模縮小と同時に求められた教員の職能開発の探究、③学級規模縮小政策の日米比較研究である。 本研究の3年目である平成29年度は、4月と11月に渡米調査(テキサス州、カリフォルニア州)を実施した。とくに今年度は、本研究の最終年度であるため、学級規模縮小政策の日米比較に重点を置いて取り組んだ。 その研究成果は、海外でも情報を共有できるよう英語でまとめ、Masumi HOSHINO ”What are the Differences between Classes in Japan and US?” Press GOSHIKI, LLC(全60ページ、単著)を発行し、報告している。今日の日本では、地方分権改革に伴い、都道府県や市町村が柔軟に学級編制を運用できるよう法改正がなされているが、そのための予算確保は十分とは言えない状況にある。このような状況を踏まえて、今後、地方自治体や学校が主体的に学級編制をしていくためには、自治体の自主性を保ちながらも、自治体間格差を生じさせずに学級規模縮小を実施できるよう、政策実施主体が財源を確保し財政支援をできるような仕組みの構築が必要であることが指摘された。 また今年度は、本科研の研究成果として投稿した査読付論文、星野真澄「学級規模縮小クラスにおける効果的な指導方法-米国ウィスコンシン州のSAGEプログラムの分析を中心に-」筑波大学教育学会『筑波教育学研究(15)』pp.5-20, 2017が、筑波大学教育学会研究奨励賞を受賞(2018年3月)している。
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