研究課題/領域番号 |
15K17341
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研究機関 | 上越教育大学 |
研究代表者 |
留目 宏美 上越教育大学, 大学院学校教育研究科, 准教授 (20516918)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | 学びの場 / 学びの関係 / コミュニケーション・システム |
研究実績の概要 |
多職種構成が進展する現代の学校組織内部の実状を学習の観点から捉えようとする場合、[OJT:On the job Traning]あるいは[Workplace Learning]という概念が有用である。前者は、自己学習、協働的な学び合い、組織の成長から整理され得るものの、教員養成教育や現職教員研修のあり方とセットであり、教職の専門性や特性、職務内容から要請される力量の形成が論じるというスタンスである。その一方で後者は、勤務している学校の教育課題はもとより、教職員の関係性、主体性や参加状況、場のありようといったシステム的、文化的な文脈と切り離せない。 両者の連関性を踏まえつつ、学校という場に埋め込まれている養護教諭の学びの実態は、学校組織内部のコミュニケーション・システムから析出可能だと考えた。そこで、養護教諭の養成課程・現職研修等に特徴がみられる3つの地方自治体(県単位)の8割の学校を無作為抽出し、小・中学校及び高等学校に勤務する現職養護教諭に対する郵送法による質問紙調査を実施した。回答データを分析し、学校組織内部のコミュニケーションに関する養護教諭の実態認識を統計的に整理した。 その結果、養護教諭は基本的に情報伝達(送り手)の側に位置し、とくに「気になる」児童生徒の情報についての伝達を重視していた。とくに相手との相互性を生み出す必要が認識された場合には、筆記記録ではなく対面での伝達を選択していた。そこでの相互性は、とくに信頼関係の構築状況や役割期待という観点から省察され、自己の力量評価につなげていた。これより、養護教諭にとっての学校における学びは、関係評価を通じた自己評価の側面が極めて大きいこと等が示唆された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
平成28年度の成果目標である①養護教諭と他の教職員の関わり合い、連携のプロセスにおける学びの在り様について統計的な傾向を明らかにする、②翌年度に実施する予定である事例調査協力校を確保する、が達成されたためである。
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今後の研究の推進方策 |
質問紙調査を分析し、結果を公表するとともに、事例調査を実施する。
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次年度使用額が生じた理由 |
調査の実施に際して不足分が出たため、運営費交付金を財源にした研究費から一部捻出した。その際に次年度使用額が生じないような策を講じなかったため。
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次年度使用額の使用計画 |
次年度は事例調査を予定しているため、これに当てる予定である。
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